カテゴリ:相続手続き
監修:竹田司法書士・社労士事務所
「田舎の実家の裏山を相続したけれど、使い道がなくて困っている」「遠方にある空き地を相続したが、手放したい」——このようなお悩みをお持ちの方に知っていただきたいのが「相続土地国庫帰属制度」です。2023年4月からスタートした、比較的新しい制度です。
今回は、この制度の仕組みを、できるだけ分かりやすくご紹介します。
どんな制度なの?
相続や遺言によって土地を受け継いだ方が、一定の条件を満たせば、その土地を国に引き取ってもらえる制度です(法務省:相続土地国庫帰属制度の概要)。「もう管理できない」「売ろうとしても買い手がつかない」といった土地を手放す選択肢のひとつとして、少しずつ利用が広がっています。2026年2月末時点で、申請件数は累計5,140件、実際に国への引き渡しが認められた土地は累計2,542件にのぼります。対象となるのは、相続または遺贈(遺言により財産を受け取ること)によって土地を取得した方に限られ、売買や贈与で取得した土地は対象外です。
どんな土地でも引き取ってもらえるの?
残念ながら、どんな土地でも無条件に引き取ってもらえるわけではありません。たとえば次のような土地は対象外とされています。
- 建物が建っている土地
- 境界がはっきりしない土地、隣地の所有者と争いがある土地
- 担保(抵当権など)が設定されている土地
- 崖など、管理に過大な費用や労力がかかる土地
- 土壌汚染がある土地、通路など他人が使用する予定のある土地
これらは申請の入り口で却下される「却下事由」と、審査の過程で不承認となる「不承認事由」に分かれており、境界不明や権利関係の紛争は主に却下事由、管理コストが高い崖地などは主に不承認事由にあたります。まずはご自身の土地がこの制度を使える土地かどうか、確認するところから始まります。
費用はどれくらいかかるの?
土地1筆につき、審査の申請時に14,000円の審査手数料がかかります。そして審査を通過し、国への引き渡しが承認されると、別途「負担金」として原則20万円(土地の種類によって金額が変わります)を納める必要があります。この負担金は、承認の通知が届いた日の翌日から30日以内に納めないと、承認の効力が失われてしまうので注意が必要です。審査手数料は、審査の結果引き取りが認められなかった場合でも返還されません。
どこに申請するの?
土地が所在する都道府県を管轄する法務局(本局)の不動産登記部門が申請先です。必要書類の準備には手間と時間がかかるため、まずはお近くの法務局や、私たちのような専門家へご相談いただくことをおすすめします。
よくある質問
Q. 相続放棄との違いは何ですか?
A. 相続放棄は不動産だけでなく、預貯金なども含めた相続財産すべてを放棄する手続きです。一方、相続土地国庫帰属制度は、いったん相続した上で、不要な土地だけを選んで国に引き渡せる点が異なります。
Q. 建物付きの土地は絶対に対象外ですか?
A. はい、建物が建ったままの状態では申請できません。建物を解体して更地にしてからの申請が必要です。
Q. 審査にはどれくらいの期間がかかりますか?
A. 案件によって異なりますが、標準的な処理期間の目安は概ね半年から1年程度とされています。
竹田司法書士・社労士事務所では、相続に関する書類の作成や、法務局への申請書類の準備についてサポートしております。「相続した実家の土地、どうしたらよいか分からない」という段階でも構いません。堺市はもちろん、大阪府内で相続にまつわるお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。
※本記事は令和8年8月11日時点の法令・制度に基づいて作成しています。その後の法改正等により内容が変更されている場合がありますので、あらかじめご了承ください。最新の内容については、当事務所までお問い合わせください。
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