家族が亡くなった後、税金で戻ってくるお金5選

 カテゴリ:相続手続き
監修:竹田司法書士・社労士事務所

ご家族を亡くされた後は、葬儀の手配や役所への届出など、次々とやるべきことに追われます。そうした忙しさの中で見落とされがちなのが、税金に関する手続きの中で発生する還付金です。以前の記事では、健康保険や介護保険の還付についてご紹介しましたが、今回は税金にまつわる5つのポイントについて解説します。

①準確定申告による所得税の還付

亡くなった方に一定以上の所得があった場合、相続人が代わりに所得税の確定申告を行う必要があります。これを「準確定申告」といい、根拠となるのは所得税法第124条・125条です。期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月を経過した日の前日までと定められています。

給与や年金から源泉徴収されていた税額を1年分に満たない期間で精算することになるため、結果として還付金が発生することがあります。ただし、準確定申告をすれば必ず還付があるというわけではありません。逆に納税が必要になる場合もあります。また、この4か月という期限は、相続放棄の熟慮期間(3か月)とは別の制度ですので、混同しないようご注意ください。

②医療費控除(生前に支払った分)

亡くなった方が生前に支払った医療費は、準確定申告の中で医療費控除として控除できます(所得税法第73条)。控除額は、支払った医療費の合計額から保険金などで補てんされる金額を差し引き、さらにそこから10万円とその年の総所得金額等の5%相当額のいずれか低い方を差し引いた金額です。総所得金額等が200万円未満の方は、10万円ではなく5%相当額が基準になる点に注意が必要です。

対象となるのは、あくまで亡くなった日までに本人が実際に支払った医療費に限られます。この点は、次の③で詳しくご説明します。

③死亡後に遺族が支払った医療費の扱い

ご家族が亡くなった後に、入院・治療費の請求が届き、相続人が支払うケースは少なくありません。ここで誤解されやすいのが、この医療費の扱いです。死亡後に相続人が支払った医療費は、亡くなった方本人の準確定申告における医療費控除の対象に含めることはできません。たとえ相続財産の中から支払った場合であっても同様です。

ただし、これで控除の機会がすべて失われるわけではありません。治療を受けていた当時、亡くなった方と生計を一にしていた相続人がその医療費を支払った場合は、支払った相続人自身の確定申告において、ご自身の医療費控除の対象にできることがあります。「誰の申告で控除するか」という枠組みが切り替わるだけで、控除の可能性自体が失われるわけではない、という点を知っておいていただきたいと思います。

④住民税の過誤納金還付

住民税(個人の道府県民税・市町村民税)は、毎年1月1日(賦課期日)現在の住所地を基準に、その年度分の税額が全額課税される仕組みです(地方税法第39条・318条)。そのため、1月2日以降に亡くなられた場合は、年度の途中であっても税額が日割りで減額されることはなく、残っている税額は相続人が承継して納めることになります。反対に、1月1日以前に亡くなられた場合は、その年度分の納税義務そのものが発生しません。

そして、二重に納付していた場合や、後から税額の訂正があった場合には、「過誤納金」として還付を受けられることがあります(地方税法第17条)。この還付は、市区町村があらかじめ届出を受けた相続人代表者宛てに通知する形で案内されるのが一般的な運用です。なお、この還付金請求権には5年の消滅時効があります(同法第18条の3)ので、通知が届いたら早めに手続きされることをおすすめします。

⑤相続人が受け取る還付金の確認

ここまでご紹介した還付金は、亡くなった方が本来受け取るはずだった金銭債権として、相続財産に含まれます(民法第896条)。相続人が複数いる場合、この還付金は法律上当然に、それぞれの相続人の法定相続分に応じて分割されると考えられています。この考え方は、最高裁判所が古くから示してきたものです。

もっとも、これは預貯金の扱いとは異なる点にご注意ください。預貯金については、平成28年の最高裁判所大法廷決定により、遺産分割の対象として相続人全員の合意(又は家庭裁判所の判断)を経なければ払戻しができないという扱いに変わりました。これに対し、税金の還付金のような一般の金銭債権は、この判例変更の対象にはなっておらず、従来どおり法定相続分に応じて分割される取扱いが前提とされています。実務上は、相続人の代表者がまとめて受け取り、後で相続人間において精算する運用が広く行われています。

よくある質問

Q. 準確定申告は必ずしなければなりませんか?
A. 亡くなった方が給与所得者で年末調整により所得税が精算済みの場合など、申告が不要なケースもあります。ただし、還付を受けられる可能性がある場合は、申告をしないと還付金を受け取れません。該当するかどうかご不明な場合は、早めにご確認いただくことをおすすめします。

Q. 医療費控除の対象になる医療費の範囲を教えてください。
A. 医師や歯科医師による診療・治療の対価、治療に必要な医薬品の購入費用など、通常必要と認められるものが対象です。個別の医療費が対象になるかどうかの具体的な判断は、専門家にご確認ください。

Q. 住民税の還付通知が届く前に、還付の有無を確認する方法はありますか?
A. お住まいの市区町村の税務担当窓口にお問い合わせいただくことで、確認できる場合があります。死亡届提出後、しばらく経っても通知が届かない場合は、念のためお問い合わせいただくとよいでしょう。

Q. 相続放棄をした場合、これらの還付金は受け取れますか?
A. 相続放棄をした方は、原則として被相続人の財産を一切承継しないため、還付金についても受け取れなくなる可能性があります。相続放棄をご検討中の場合は、還付金の有無・金額も含めて、事前にご確認いただくことをおすすめします。

税額の具体的な計算や、控除の適用に関する個別の判断は、司法書士・社会保険労務士の業務範囲外であり、専門家にご確認いただく必要があります。竹田司法書士・社労士事務所では、相続に関する各種手続きのご相談を承っております。「どの手続きから始めればよいか分からない」という段階でも構いません。堺市はもちろん、大阪府内で相続にまつわるお悩みがございましたら、税額の個別判断が必要な事項については専門家とも連携しながら、お気軽にご相談ください。

あわせてご覧ください

※本記事は令和8年9月16日時点の法令・制度に基づいて作成しています。税額の計算・控除の適用可否など個別の判断は専門家にご確認ください。その後の法改正等により内容が変更されている場合もありますので、正確な内容については、お手続き先の窓口又は専門家に直接ご確認ください。

« お知らせ一覧に戻る

メールで相談 電話で相談 LINEで相談