相続した空き家を放置するとどうなる?固定資産税・行政の指導・相続登記の期限

 カテゴリ:相続
監修:竹田司法書士・社労士事務所

親から実家を相続したものの、誰も住まないまま空き家になっている。そのようなご相談は少なくありません。相続した空き家は、放置すると、行政から指導を受けたり、固定資産税の負担が重くなったり、相続人としての責任を問われたりすることがあります。本記事では、主なリスクと、押さえておきたい期限を解説します。

管理が不十分な空き家は、行政の指導の対象になる

「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空家法)では、居住その他の使用がなされていないことが常態である建築物とその敷地を「空家等」といいます(2条1項)。令和5年12月13日に施行された改正で、従来の「特定空家等」に加えて、「管理不全空家等」という区分が設けられました。

管理不全空家等は、そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態の空家等です(13条1項)。市町村長は、指導を行い、改善されないときは勧告をすることができます(同条)。

特定空家等は、倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態、著しく衛生上有害となるおそれのある状態などにある空家等です(2条2項)。助言又は指導、勧告、命令へと進み、行政代執行が行われる場合もあります(22条)。命令に違反した場合は、50万円以下の過料の対象になります(30条1項)。

管理不全空家等の段階では、命令、過料、行政代執行の規定はありません。

勧告を受けると、固定資産税・都市計画税の特例が外れる

住宅が建っている土地には、固定資産税・都市計画税を軽くする「住宅用地の特例」があります。固定資産税では、200㎡以下の小規模住宅用地の課税標準は価格の6分の1、一般住宅用地は3分の1です。都市計画税では、小規模住宅用地が3分の1、一般住宅用地が3分の2です(地方税法349条の3の2、702条の3)。

管理不全空家等や特定空家等が勧告を受けると、その敷地は、この特例の対象から外れます(349条の3の2第1項)。建物はそのままでも、土地の税負担が重くなります。「最大6倍」といわれるのは、このためです。

実際には、特例が外れても負担調整措置が働くため、一律に6倍になるとは限りません。実際の負担は、土地の状況や市区町村の条例などによって異なります。

特例は、勧告が撤回されれば対象に戻り得ます。国土交通省のガイドラインは、必要な措置が講じられたことを市町村が確認したときに勧告を撤回し、税務の担当部署に情報を提供するとしています。措置を講じただけで自動的に元に戻るわけではありません。

個別の税額や、特例が適用されるかどうかの判断は、税務の専門家か、お住まいの市区町村の窓口にご確認ください。

相続した空き家の責任は、相続人が負う

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します(民法896条)。空き家の所有者としての責任も、相続人に及びます。空家法も、所有者等に、空き家の適切な管理に努めるとともに、国や自治体の施策に協力するよう努めることを求めています(5条)。

建物の設置や保存に瑕疵があって他人に損害が生じたときは、まず占有者が賠償責任を負い、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者が賠償責任を負います(民法717条1項)。誰も使っていない空き家では、所有者としての責任を問われる可能性があります。

相続人が複数いる間は、空き家は相続人の共有です(898条)。保存行為は各共有者が単独でできますが、管理は持分の価格の過半数で決めます。共有物の変更は、形状や効用の著しい変更を伴わないものを除き、他の共有者全員の同意が必要です(251条1項、252条)。

相続放棄をしても、すぐに責任がなくなるとは限らない

相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内にしなければなりません(民法915条1項)。期間内に限定承認や放棄をしないと、単純承認をしたものとみなされます(921条2号)。期間は、家庭裁判所に請求して伸ばしてもらえる場合があります。

起算点は、原則として、相続開始の原因となる事実と、自分が相続人となったことを知った時です。相続財産が全くないと信じ、そう信じる相当な理由がある場合に限り、財産の存在を知った時から数える、とした最高裁判決があります(最判昭和59年4月27日)。

また、相続放棄をした人でも、放棄の時に相続財産を現に占有しているときは、相続人などに引き渡すまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって保存しなければなりません(民法940条1項)。放棄をすれば直ちにすべての負担がなくなる、とは限りません。

相続登記の期限にも注意

相続で不動産を取得した人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請しなければなりません(不動産登記法76条の2第1項)。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります(164条1項)。令和6年4月1日より前に相続を知っていた不動産の期限は、令和9年3月31日です。

遺産分割がまとまらないときは、3年以内に「相続人申告登記」を申し出ることで、この義務を履行したものとみなされます(76条の3第2項)。申出後に遺産分割で所有権を取得したときは、改めて3年以内の登記申請が必要です(同条4項)。

相続した空き家を手放す・活用する方法

相続土地国庫帰属制度は、相続した土地を国に引き渡す制度です。ただし、建物が建っている土地は申請できません(相続土地国庫帰属法2条3項1号)。空き家を対象にするには、建物を取り壊して更地にすることが前提です。

審査手数料は土地1筆ごとに1万4千円で(同法施行令3条)、承認後は負担金の納付が必要です。負担金は、土地の種目や区域に応じて決まります。宅地の場合は、市街化区域や用途地域内では面積に応じた算定式、それ以外は一律20万円です(同法施行令5条)。通知を受けた日から30日以内に納付しないと、承認は効力を失います(同法10条3項)。

このほか、自治体が運営する空き家バンクなどの仕組みがあります。空き家バンクは、空家法上の制度ではなく、自治体の取り組みです。

よくある質問

Q. 空き家を放置すると、固定資産税は自動的に6倍になりますか?
A. 放置しただけで自動的に6倍にはなりません。勧告を受けて特例が外れた場合でも、負担調整措置が働くため、一律に6倍になるとは限りません。

Q. 相続放棄をすれば、空き家の管理は一切しなくてよいですか?
A. 放棄の時に空き家を現に占有しているときは、相続人などに引き渡すまで、保存する義務があります(民法940条1項)。

Q. 相続登記をしないと、どうなりますか?
A. 正当な理由なく期限内に申請しないと、10万円以下の過料の対象になります。遺産分割が終わらないときは、相続人申告登記という手続もあります。

竹田司法書士・社労士事務所では、相続登記のご相談や、遺産分割協議書の作成、相続放棄に関する書類作成のご相談も承っております。堺市はもちろん、大阪府内で相続に関するご相談をお考えの方は、お気軽にご相談ください。

※本記事は令和8年9月27日時点の法令・制度に基づいて作成しています。その後の法改正等により内容が変更されている場合がありますので、あらかじめご了承ください。最新の内容については、当事務所までお問い合わせください。

不動産登記のご相談(抵当権抹消・住所氏名の変更・売買や贈与の名義変更)は、不動産登記のご相談のページをご覧ください。

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