保管証書遺言とは?スマホで作れる新しい遺言制度をわかりやすく解説

 カテゴリ:遺言書作成
監修:竹田司法書士・社労士事務所

遺言書といえば、自分で手書きする自筆証書遺言か、公証役場で作成する公正証書遺言のいずれかを選ぶのが一般的でした。令和8年6月に成立した「民法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第45号)により、これらに加えて「保管証書遺言」という新しい遺言の方式が創設されることになりました。本記事では、この新しい制度の内容と、現時点で知っておくべき注意点を解説します。

保管証書遺言とは

保管証書遺言は、パソコンやスマートフォンを使って電子データで作成し、法務局において保管してもらう新しい遺言の方式です(法務省民事局の発表による)。これまでの自筆証書遺言は自分の手で全文を書く必要があり、公正証書遺言は公証役場に出向いて公証人の関与のもとで作成する必要がありました。保管証書遺言が創設されることで、長い文章を書くのが難しい方やパソコンでの作成のほうが負担が少ないという方にとって、遺言を残す選択肢が広がることになります。

ただし、電子データで作成した文章であれば何でもよいというわけではありません。法務局が本人確認や遺言者の真意性を確認する仕組みが設けられる予定であり、なりすましや後からの改ざんを防ぐための一定の手続きが求められることになります。具体的な確認方法や必要書類などの詳細は、今後定められる政令・省令によって明らかになっていく段階です。

押印の任意化もあわせて改正

同じ改正法により、遺言作成時の押印の要件を任意化することも定められました。これまで、自筆証書遺言や秘密証書遺言などでは、遺言者や証人の押印がないと無効になってしまう場合がありましたが、この要件が緩和されることになります。押印を忘れたために遺言全体が無効になってしまうという事態が減ることが期待されます。ただし、押印以外の要件、たとえば自筆証書遺言における全文の自書や日付・氏名の記載といった要件まで不要になるわけではない点には注意が必要です。

施行はまだ先

これらの改正は、いずれもまだ実際には始まっていません。押印の任意化については、法律が公布された令和8年6月24日から起算して1年を超えない範囲内で、政令で定める日から施行される予定です。保管証書遺言の創設については、公布から起算して3年を超えない範囲内で、政令で定める日から施行されることになっています。つまり、押印の任意化は早ければ令和9年6月頃までに、保管証書遺言は遅くとも令和11年6月頃までに施行される見通しですが、具体的な施行日は現時点で確定していません。

今すぐ遺言書を作成したい方へ

今すぐ遺言書を作成したいという方は、これまでどおり自筆証書遺言または公正証書遺言を利用することになります。新しい制度が創設されるからといって、これまでの遺言の方式が廃止されたり、無効になったりするわけではありません。自筆証書遺言・公正証書遺言それぞれの特徴については、当事務所の別記事「遺言書の作成方法と選び方」もあわせてご覧ください。

まとめ

保管証書遺言は、高齢化やデジタル化が進む社会の中で、遺言をより身近なものにする制度として期待されています。一方で、具体的な手続きの詳細は今後の政令・省令の制定を待つ必要があり、現時点で分かっていることはまだ限られています。制度の開始時期や詳しい要件については、今後の続報を確認しながら進めていくことが大切です。

よくある質問

Q. 保管証書遺言は今すぐ作成できますか?
A. いいえ。まだ施行されておらず、現時点では利用できません。今すぐ遺言書を作成したい方は、自筆証書遺言または公正証書遺言をご利用ください。

Q. 自筆証書遺言や公正証書遺言はなくなってしまうのですか?
A. いいえ。保管証書遺言はあくまで新しい選択肢が加わるものであり、既存の遺言の方式が廃止されるわけではありません。

Q. 押印の任意化は、すでに作成した遺言書にも影響しますか?
A. 押印の任意化は施行日以降に作成される遺言に関する規律です。すでに有効に成立している遺言書の効力に、この改正によって影響が生じるものではないと考えられますが、詳細は今後の政令等もふまえてご確認ください。

竹田司法書士・社労士事務所では、自筆証書遺言・公正証書遺言の作成サポートを承っております。新しい制度の開始をお待ちいただく必要はなく、現行の制度でも十分に有効な遺言書を作成することができます。堺市はもちろん、大阪府内で遺言書作成をお考えの方は、お気軽にご相談ください。

あわせてご覧ください

※本記事は令和8年8月28日時点の情報に基づいて作成しています。保管証書遺言・押印任意化の制度はいずれも未施行であり、今後の政令・省令の制定により内容が変更される可能性があります。最新の内容については、当事務所までお問い合わせください。

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