2026.09.13 カテゴリ:相続手続き 監修:竹田司法書士・社労士事務所
ご家族を亡くされた後は、葬儀の手配や役所への届出など、次々とやるべきことに追われます。深い悲しみの中で、そうした忙しさに紛れて見落とされがちなのが、「亡くなった方に代わってご遺族が受け取れるお金」です。手続きをしないまま期限が過ぎてしまうと、本来受け取れたはずのお金を受け取れなくなってしまうこともあります。今回は、忘れずに確認しておきたい5つの払い戻しについて、やさしく解説します。
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①〜③ 介護保険料・国民健康保険料・後期高齢者医療保険料の還付
亡くなった方が加入していた介護保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度では、資格を喪失する日(原則として死亡日の翌日)の前月分までを基準に保険料が再計算されます。そのため、すでに納めていた保険料に払いすぎが生じることがあり、この差額が「還付金」として相続人に払い戻されます。根拠となる条文は、介護保険法第139条 ・第200条 、国民健康保険法第110条 、高齢者の医療の確保に関する法律第160条 です(いずれもe-Govで条文原文を確認済み)。
手続きの流れは、死亡届の提出後、市区町村から「還付通知書」と請求書が郵送で届き、振込先口座と、相続人であることが分かる戸籍謄本等を添えて返送する、というのが一般的です。相続人が複数いる場合は、代表者を1名選んで受け取る運用が広く行われています。
ただし、これらの還付を受ける権利には、原則として2年の消滅時効があります。この2年の期限を過ぎると、権利そのものが消滅し、請求できなくなってしまいます。なお、この2年の起算点は、実務上は「還付通知書が発行された日」と案内されることが多いのですが、法律上は「請求できる状態になった時(過誤納が確定した処分の日)」が基準となるため、通知書の日付と厳密には一致しない場合があります。正確な期限は、お手元に届いた通知書とあわせて市区町村の窓口でご確認ください。また、後期高齢者医療保険料の還付については、一部の市区町村で消滅時効を5年として運用している例があるとの指摘もあり、期限の扱いが自治体によって異なる可能性がある点にも留意が必要です。
④ 高額療養費
生前に大きな病気やけがで医療機関にかかっていた場合、1か月の医療費の自己負担額が一定の限度額(所得や年齢によって異なります)を超えていれば、その超えた分が「高額療養費」として払い戻されます。根拠は健康保険法第115条 ・第193条 、国民健康保険法第57条の2 ・第110条 です(e-Govで原文確認済み)。
本人が請求しないまま亡くなった場合でも、この請求権は相続財産の一部として相続人に引き継がれるため、相続人が代わりに請求することができます。加入していた健康保険組合や協会けんぽ、あるいはお住まいの市区町村の国民健康保険担当窓口に確認のうえ、申請書と必要書類を提出します。こちらも請求できる期間は原則2年ですので、心当たりのある方は早めに確認されることをおすすめします。
⑤ 高額介護サービス費
介護サービスを利用していた場合も同様の制度があります。1か月の利用者負担額が一定の上限額を超えると、その超えた分が「高額介護サービス費」として払い戻されます。根拠は介護保険法第51条 ・第200条 です(e-Govで原文確認済み)。
この制度については、厚生労働省の通知(平成21年1月16日老介発第116001号)で「死亡した者の高額介護サービス費の支給の申請は、当該死亡した者の相続人が相続することとなり、申請手続等も行うこととなる」と、相続人による申請ができることが明確に示されています。今回ご紹介した5つの中でも、国が最もはっきりと相続人の申請権を認めている制度といえます。期限はこちらも原則2年です。
相続人が受け取れるのはなぜ?
実は、ここでご紹介した5つの制度はいずれも、法律の条文に「相続人が受け取れる」とはっきり明記されているわけではありません。亡くなった方が持っていた「払い戻しを受ける権利」は金銭債権であり、民法第896条 が定める「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」という一般的なルールに基づいて、相続人に引き継がれると解されています。そのため、実務上は市区町村や健康保険組合などが、相続人(または相続人代表者)からの請求に応じて払い戻しを行う、という形が取られています。
よくある質問
Q. これらのお金を受け取るのに、相続放棄をしていても問題ありませんか?
A. 相続放棄をした方は、原則として被相続人の財産を一切承継しないため、これらの還付金についても受け取れなくなる可能性があります。相続放棄をご検討中の場合は、還付金の有無や金額も含めて、事前にご確認いただくことをおすすめします。
Q. 通知書が届く前に、こちらから還付の有無を確認することはできますか?
A. 制度によっては、市区町村の窓口に問い合わせることで、還付の有無を確認できる場合があります。死亡届提出後、しばらく経っても通知が届かない場合は、念のため担当窓口にお問い合わせいただくとよいでしょう。
Q. 相続人が複数いる場合、誰が請求すればよいですか?
A. 相続人の中から代表者を1名選び、その方が窓口となって請求・受領する運用が一般的です。受け取った還付金は、後日、遺産分割の中で他の相続人と精算することになります。
竹田司法書士・社労士事務所では、相続に関するご相談、各種手続きのサポートを行っております。「どの手続きから始めればよいか分からない」「還付の対象になるか分からない」という段階でも構いません。堺市はもちろん、大阪府内で相続にまつわるお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。
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※本記事は令和8年9月13日時点の法令・制度に基づいて作成しています。消滅時効の起算点や運用は自治体・保険者により異なる場合があります。その後の法改正等により内容が変更されている場合もありますので、正確な内容・期限については、お手続き先の窓口に直接ご確認ください。
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