カテゴリ:未支給年金・遺族年金
監修:竹田司法書士・社労士事務所
年金を受け取っていたご家族が亡くなると、遺族には主に二つの年金手続きが関わってきます。「未支給年金」の請求と「遺族年金」の請求です。名前は似ていますが、まったく別の制度であり、対象となる遺族の範囲も、受け取れる金額の考え方も異なります。仕組みを正しく理解しないまま手続きが遅れると、本来受け取れるはずの年金を受け取れなくなってしまうこともあるため、それぞれの違いを押さえておくことが大切です。
未支給年金とは―年金は必ず「後払い」で残る
公的年金は、偶数月(2月・4月・6月・8月・10月・12月)に、前月・前々月の2か月分をまとめて後払いで支給される仕組みになっています。そのため、受給者がどのタイミングで亡くなったとしても、その時点で必ずまだ支払われていない年金が発生します。これが未支給年金です(国民年金法第19条、厚生年金保険法第37条)。未支給年金は、亡くなった方の相続財産ではなく、請求できる遺族自身の固有の権利として支給されるものとされています。そのため、その方の相続を放棄した方であっても、要件を満たせば未支給年金は受け取ることができます。
未支給年金を請求できる遺族の範囲・順位
未支給年金を請求できるのは、受給者の死亡当時、その方と生計を同じくしていた遺族です。請求できる順位は、配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹・それ以外の三親等内の親族の順に定められており、先の順位の方がいる場合、後の順位の方は請求できません。「生計を同じくしていた」とは、必ずしも同居していたことを意味するわけではなく、生活費を実質的に共にしていたと認められる関係であれば足りるとされています。単身赴任や施設入所などで住民票上の住所が別であっても、仕送りの実態などから生計同一と認められるケースもあります。
遺族年金とは―未支給年金とは別の制度
遺族年金は、未支給年金とは別の制度で、亡くなった方によって生計を維持されていた遺族に支給される年金です。国民年金からは遺族基礎年金(国民年金法第37条)、厚生年金保険からは遺族厚生年金(厚生年金保険法第58条)が支給され、対象となる遺族の範囲や年齢要件は制度ごとに異なります。遺族基礎年金は、子のある配偶者、または子が対象です。遺族厚生年金は、妻・子・55歳以上の夫・55歳以上の父母・孫・55歳以上の祖父母の順で受給者が決まり、55歳以上を要件とする夫・父母・祖父母は、実際に支給が始まるのは60歳からとなります。また、遺族年金を受け取るには、遺族の前年収入がおおむね850万円未満であることが見込まれるなど、生計維持関係の要件を満たす必要があります。
請求期限は5年、死亡の届出は別途速やかに
未支給年金・遺族年金のいずれも、請求できる期間は5年です(国民年金法第102条)。未支給年金は年金の支払日の翌月の初日から、遺族年金は死亡日の翌日から、それぞれ5年を経過すると時効によって請求できなくなります。ただし、これらの請求とは別に、年金受給者が亡くなった事実そのものの届出は、速やかに年金事務所または街角の年金相談センターへ行う必要があります。届出が遅れると、亡くなった後の年金が口座に振り込まれ続けてしまい、後日その分の返還を求められることがあります。マイナンバーが年金機構に登録されている場合は原則届出が省略されますが、登録状況が不明な場合は念のため確認しておくと安心です。
手続きの流れと必要書類
どちらの請求も、年金事務所(または街角の年金相談センター)に、年金証書、死亡診断書の写し、亡くなった方と請求者の関係が分かる戸籍謄本、住民票(死亡後に交付されたもの)などを提出して行います。事実婚関係にあった配偶者が請求する場合は、婚姻の意思があったことについて第三者による証明が必要になるなど、通常の戸籍上の遺族とは異なる書類が求められることがあります。未支給年金と遺族年金は、要件を満たせば同時に請求できる場合があるため、まとめて年金事務所に相談すると手続きの手間を減らせます。
よくある質問
Q. 未支給年金は相続税の対象になりますか?
A. 未支給年金は遺族固有の権利として支給されるものであり、相続財産には該当しません。ただし、受け取った遺族の一時所得として、所得税の課税対象になる場合があります。
Q. 未支給年金と遺族年金は両方もらえますか?
A. 対象者の範囲や要件がそれぞれ異なるため、要件を満たせば両方とも請求できる場合があります。どちらか一方しか対象にならないケースもあるため、個別の確認が必要です。
Q. 年金受給者が亡くなったら、まず何をすればよいですか?
A. まずは年金事務所または街角の年金相談センターに死亡の事実を届け出てください。そのうえで、未支給年金・遺族年金それぞれについて請求資格があるかどうかを確認する流れになります。
竹田司法書士・社労士事務所では、社会保険労務士登録(大阪府社会保険労務士会所属 登録番号 第271301795号)も行っており、相続手続きに付随するものとして、未支給年金・遺族年金の請求についてもあわせてサポートしております。「何から手を付ければよいか分からない」という段階でも構いません。堺市はもちろん、大阪府内で年金の請求手続きについてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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※本記事は令和8年8月19日時点の法令・制度に基づいて作成しています。その後の法改正等により内容が変更されている場合がありますので、あらかじめご了承ください。最新の内容については、当事務所までお問い合わせください。
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