検索用情報の申出とは?住所・氏名変更登記が自動になる新しい制度

 カテゴリ:相続手続き
監修:竹田司法書士・社労士事務所

2026年4月1日から、不動産の所有者に住所・氏名変更登記を申請する義務が課されるようになりました(詳しくは当事務所の別記事「住所・氏名変更登記も義務化に」をご覧ください)。この義務化とあわせて始まったのが、「検索用情報の申出」という制度です。あらかじめ法務局に申出をしておくことで、その後の住所・氏名変更登記を自分で申請しなくてもよくなる仕組みで、義務化への対応の負担を軽くする選択肢として注目されています。本記事では、この制度の内容と利用にあたっての注意点を解説します。

検索用情報の申出とは

不動産の所有権登記名義人は、氏名・住所に変更があった日から2年以内に変更登記を申請しなければならず、正当な理由なくこれを怠ると5万円以下の過料の対象になる可能性があります(不動産登記法第76条の5)。この申請の手間を軽くするために設けられたのが検索用情報の申出制度です。氏名、住所、氏名の振り仮名、生年月日、電子メールアドレスといった「検索用情報」(不動産登記規則第158条の39)をあらかじめ法務局に届け出ておくと、法務局が住民基本台帳ネットワークシステムの情報と定期的に照合し、住所や氏名の変更を確認できた場合には、登記官の職権で変更登記をしてもらえます(同法第76条の6)。申出をしておけば、以後は住所や氏名が変わるたびに自分で登記所へ出向いて申請書を作成する必要がなくなります。

申出の2つの方法

検索用情報の申出には2種類の方法があります。ひとつは、不動産を新たに取得して所有権の保存や移転の登記を申請する際に、その申請とあわせて検索用情報を申し出る「同時申出」です。もうひとつは、既に不動産を所有している方が、あらためて単独で検索用情報を申し出る「単独申出」です(同規則第158条の40)。単独申出の受付は令和7年4月21日から始まっており、既に不動産をお持ちの方も、この制度を後から利用できます。いずれの方法でも、最初に法務局へ検索用情報を届け出るという手続きが一度必要になる点は共通しています。

職権登記のしくみと注意点

職権による変更登記は、法務局が住基ネットの情報をもとに住所・氏名の変更があったと認めた場合に行われるものです。変更があった瞬間に自動的に登記が書き換わるわけではなく、実際に登記に反映されるまでには一定の期間がかかることがあります。また、なりすましなどによる不正な登記を防ぐため、この制度を利用するにはあらかじめ本人が法務局に申出をしておくことが前提です。申出をしていなければ、これまでどおり所有者自身が変更登記を申請しなければならない点は変わりません。義務化への対応を法務局任せにできる便利な制度ですが、事前の申出という一手間は避けられない、という点をご理解いただく必要があります。

個人と法人で異なる対応

検索用情報の申出は、自然人(個人)の所有者を対象とした制度です。会社などの法人が所有者である場合は、この検索用情報の申出とは別の仕組みが用意されています。不動産の登記事項として会社法人等番号が記録されていれば、本店移転や商号変更があったときに、事前の申出をしなくても変更が自動的に登記へ反映される仕組みになっているためです。個人の所有者と法人の所有者とでは、義務化への対応方法が異なる点にご注意ください。

まとめ

検索用情報の申出は、住所・氏名変更登記の義務化に伴う申請の手間を軽くし、持ち主の連絡先が分からなくなる「所有者不明土地」の発生を防ぐことも目的とした制度です。既に不動産をお持ちの方でも単独申出により後から利用できるため、「引っ越しや結婚のたびに登記を忘れそうで不安」という方は、検討してみる価値があります。

よくある質問

Q. 検索用情報の申出をすれば、住所・氏名変更登記の義務自体がなくなりますか?
A. いいえ。申出をしておけば法務局が職権で登記をしてくれる可能性がありますが、変更登記を申請する義務そのものがなくなるわけではありません。職権登記が行われなかった場合には、引き続き所有者自身による申請が必要です。

Q. 検索用情報にはどのような項目を届け出る必要がありますか?
A. 氏名、氏名の振り仮名(外国籍の方はローマ字表記)、住所、生年月日、電子メールアドレスの5項目です。

Q. 会社が所有する不動産にも検索用情報の申出が必要ですか?
A. いいえ。検索用情報の申出は個人(自然人)の所有者を対象とした制度です。法人の場合は、会社法人等番号が登記事項として記録されていれば、変更が自動的に反映される別の仕組みが用意されています。

竹田司法書士・社労士事務所では、住所・氏名変更登記や検索用情報の申出に関するご相談・お手続きのサポートを行っております。「自分の場合はどちらの方法が向いているか分からない」という段階でも構いません。堺市はもちろん、大阪府内で不動産の登記についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

※本記事は令和8年8月30日時点の法令・制度に基づいて作成しています。その後の法改正等により内容が変更されている場合がありますので、あらかじめご了承ください。最新の内容については、当事務所までお問い合わせください。

不動産登記のご相談は、不動産登記のご相談のページをご覧ください。住所・氏名の変更登記の手続きと費用は、住所・氏名の変更登記のページに載せています。

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