カテゴリ:相続
監修:竹田司法書士・社労士事務所
大切なご家族を亡くされた直後は、深い悲しみの中で、葬儀の準備や役所への届出など、数多くの手続きに追われることになります。実は、亡くなった方が加入していた公的医療保険の種類によって、葬儀や埋葬にかかった費用の一部を、公的な制度から受け取れることをご存知でしょうか。これらの給付は、待っていても振り込まれることはなく、こちらから申請して初めて受け取れるものばかりです。本記事では、ご家族が亡くなったときに申請できる5つの公的なお金について、それぞれの支給要件・金額・申請期限をご紹介します。心の整理がついた時で構いませんので、少しずつ確認していただければと思います。
①国民健康保険の葬祭費
自営業の方や年金生活の方など、国民健康保険に加入していた方が亡くなった場合、市区町村から「葬祭費」が支給されます。国民健康保険法は「市町村及び組合は、被保険者…の死亡に関しては、条例又は規約の定めるところにより…葬祭費の支給若しくは葬祭の給付を行うものとする」と定めており(国民健康保険法58条1項)、支給対象者は実際に葬儀を行った方(葬祭執行者)です。支給額は市区町村ごとの条例で個別に定められており、一般的には3万円から7万円程度が目安ですが、東京23区では多くが7万円で統一されているなど、地域差があります。申請期限は葬祭を行った日の翌日から2年で、これを過ぎると時効により申請できなくなります(同法110条)。相続人であることは要件とされておらず、相続放棄をした方でも受け取れるとされています。
②後期高齢者医療の葬祭費
75歳以上の方など、後期高齢者医療制度に加入していた方が亡くなった場合も、同じ名称の「葬祭費」が支給されます。根拠となる高齢者の医療の確保に関する法律は「後期高齢者医療広域連合は、被保険者の死亡に関しては、条例の定めるところにより、葬祭費の支給又は葬祭の給付を行うものとする」と定めています(高齢者の医療の確保に関する法律86条1項)。支給額は後期高齢者医療広域連合の条例により定められ、多くの地域で5万円程度ですが、2万円程度の地域から7万円程度の地域まで幅があります。申請期限はこちらも2年です(同法160条1項)。申請窓口は、お住まいの市区町村役場になります。
③健康保険の埋葬料
会社員など、健康保険に加入していたご本人が亡くなった場合は「埋葬料」が支給されます。健康保険法は「被保険者が死亡したときは、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料として、政令で定める金額を支給する」と定めており(健康保険法100条1項)、金額は一律5万円です(健康保険法施行令35条)。ここでいう「生計を維持していた者」は、親族関係や同居の有無を問わないとする実務解説もありますが、この点を明示した通達等の一次資料までは確認できていないため、個別の判断が必要な場合は慎重にご検討ください。申請期限は死亡日の翌日から2年です(同法193条)。申請は自動的に行われるものではなく、全国健康保険協会や健康保険組合の窓口への手続きが必要です。
④健康保険の埋葬費
③の埋葬料を受け取れる方(生計維持関係にあった方)がいない場合には、実際に葬儀や埋葬を行った方に対して「埋葬費」が支給されます。健康保険法100条2項は「前項の規定により埋葬料の支給を受けるべき者がない場合においては、埋葬を行った者に対し、同項の金額の範囲内においてその埋葬に要した費用に相当する金額を支給する」と定めています。友人や会社の同僚が葬儀を行った場合でも対象になり得ますが、支給されるのは5万円を上限とした実際にかかった費用の実費であり、埋葬料のように一律5万円が支給されるわけではありません。申請には、埋葬に要した費用の金額が分かる領収書等の証拠書類の提出が必要です(健康保険法施行規則85条)。申請期限は埋葬料と同じく2年です。
⑤家族埋葬料
健康保険に加入していたご本人ではなく、その扶養家族(被扶養者)が亡くなった場合は「家族埋葬料」が被保険者に対して支給されます。健康保険法は「被保険者の被扶養者が死亡したときは、家族埋葬料として、被保険者に対し、第百条第一項の政令で定める金額を支給する」と定めており(健康保険法113条)、金額は埋葬料と同額の一律5万円です。申請期限・申請先は埋葬料と同じです。なお、健康保険組合によっては、これらの給付に独自の付加給付を上乗せしている場合がありますので、詳しくは加入していた健康保険組合にご確認ください。
よくある質問
Q. 5つのうち、複数を同時に受け取ることはできますか?
A. いいえ。5つの給付はそれぞれ対象となる保険の種類が異なるため、亡くなった方が加入していた保険が1つに定まる以上、同時に複数を受け取ることはできません。亡くなった方の保険証を確認すれば、どの制度に該当するかが分かります。
Q. 加入していた保険の種類が分からない場合はどうすればよいですか?
A. 亡くなった方の保険証をご確認ください。保険証が見当たらない場合は、お住まいの市区町村役場や、勤務先が加入していた健康保険組合・全国健康保険協会の窓口に問い合わせれば、教えてもらえます。
Q. 申請期限を過ぎてしまった場合はどうなりますか?
A. 申請期限(2年)を経過すると、時効により権利が消滅し、原則として支給を受けることができなくなります。期限が心配な場合は、早めに窓口へご相談ください。
竹田司法書士・社労士事務所では、相続手続き全般についてサポートしております。堺市はもちろん、大阪府内で相続に関するご相談をお考えの方は、お気軽にご相談ください。
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※本記事は令和8年9月13日時点の法令・制度に基づいて作成しています。その後の法改正等により内容が変更されている場合、また市区町村・広域連合・健康保険組合により金額・要件の詳細が異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。具体的な支給の可否・金額については、各窓口にご確認ください。
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