労働条件通知書・労働契約書の書き方(必ず書く事項・書いたほうがよい事項)

通知書に必ず書く事項は6つ。パート・有期は令和8年10月から追加があります。

  • 必ず書く事項契約の期間・更新の基準・就業の場所と業務・労働時間と休日・賃金・退職の6つです。書面で明示します(昇給に関する事項を除く)
  • 令和8年10月パート・有期の従業員には、待遇の相違について説明を求められる旨の明示が必要になりました。窓口(部署名・担当者の職氏名)も記入します。
  • 明示の方法書面の交付が原則です。希望があれば、FAX・電子メール・LINEなども使えます(従業員が書面にできるものに限ります)
  • 費用通知書の作成(1名分)2万円、通知書兼雇用契約書の作成(1名分)3万円(税抜)

従業員を雇い入れるとき、会社は、賃金や労働時間などの労働条件を、従業員にはっきり示さなければなりません(労働基準法第15条)。その書面が労働条件通知書です。このページでは、労働条件通知書・労働契約書(雇用契約書)に、必ず書かなければならないことと、書くのであれば書いたほうがよいことを、厚生労働省の案内に沿って整理しました。モデル様式のダウンロード先も載せています。ご自分で作れるようにまとめましたが、会社の実情に合わせた書き方や、トラブルを防ぐ書き方が難しいときは、社会保険労務士として当事務所が作成します。

令和8年10月1日から変わった点(パート・有期の方を雇う会社は要注意)

令和8年10月1日から、パートタイム・有期雇用の従業員には、これまでの明示事項に加えて、「通常の労働者(正社員など)との待遇の相違の内容・理由などについて、説明を求めることができる」旨を、書面などで明示することが必要になりました(違反した者は、10万円以下の過料に処されると、厚生労働省のリーフレットに書かれています)。説明を求める窓口(部署名・担当者の職氏名)を、通知書に記入します。厚生労働省のモデル様式も、令和8年10月1日以降は、新しい様式を使うよう案内されています(旧様式は、令和8年9月30日までです)。

出典:パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります(令和8年10月1日施行)(厚生労働省リーフレット)、労働基準法等関係主要様式(厚生労働省「主要様式ダウンロードコーナー」)。

労働条件通知書と、労働契約書の違い

労働条件通知書労働基準法で定められた項目を、会社が従業員に通知する書面です。雇い入れのときの労働条件の通知は、書面で行います。厚生労働省のモデル様式には、労働者の署名欄はありません。
労働契約書(雇用契約書)会社と従業員が合意した契約の内容を書いた書面です。労働契約は、口頭でも成立しますが、契約の内容は、できる限り書面で確認することとされています。
兼ねることはできるか

労働契約書に、労働基準法で定められた項目がすべて書かれていれば、労働条件通知書を兼ねていると考えることができる、とする労働局の案内があります(山梨労働局)。

くわしく見る

トラブルの予防のため、従業員にも署名・押印をもらう形で、残しておく会社が多くあります。

出典:確かめよう労働条件:労働条件の明示(厚生労働省)、労働条件知ってる?(山梨労働局)。

絶対に書かなければならないこと(絶対的明示事項)

①労働契約の期間期間の定めがあるか、ないか。あるときは、その期間。
②契約を更新するときの基準有期契約の場合。通算の契約期間または更新回数の上限を設けているときは、その上限も書きます(設けていなければ、書かなくてかまいません)。
③就業の場所・従事する業務雇い入れ直後の就業場所・業務に加えて、将来の配置転換などの「変更の範囲」も書きます(令和6年4月から)。
④労働時間など始業・終業の時刻、残業の有無、休憩時間、休日、休暇、交代制の場合の就業時転換に関する事項。
⑤賃金賃金の決め方、計算と支払いの方法、締切りと支払いの時期、昇給に関する事項(昇給は、書面でなくてもかまいません)。
⑥退職に関すること解雇の事由を含みます。内容が多いときは、就業規則の関係条項名を示す形でもかまいません。

①〜⑥は、書面で明示します(⑤の昇給を除く)。出典:確かめよう労働条件、厚生労働省パンフレット(令和6年4月からの労働条件明示のルール変更)。

定めがあるなら書かなければならないこと(相対的明示事項)

⑦退職手当対象になる労働者の範囲、決め方、計算と支払いの方法、支払いの時期。
⑧臨時の賃金・賞与・最低賃金額など臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与、最低賃金額に関すること。
⑨労働者に負担させるもの食費、作業用品など。
⑩〜⑭ そのほか安全・衛生、職業訓練、災害補償・業務外の傷病扶助、表彰・制裁、休職に関すること。

⑦〜⑭は、会社がその定めをしている場合に、明示します。書面でなくてもかまいません。

有期契約・パートの方に、追加で書くこと

  • 更新上限の有無と内容(有期契約の締結時・更新時。令和6年4月から)。更新上限を新しく設ける・短くするときは、あらかじめ、その理由を従業員に説明する必要があります。
  • 無期転換申込機会と、無期転換後の労働条件(無期転換申込権が発生する契約更新のたびに、書面で。令和6年4月から)
  • 昇給の有無、退職手当の有無、賞与の有無、相談窓口(パートタイム・有期雇用の従業員。書面などで)
  • 待遇の相違の説明を求めることができる旨と、その窓口(令和8年10月1日から)

書いたほうがよいこと(法律上の必須ではないもの)

  • 社会保険・雇用保険の加入状況:厚生労働省のモデル様式の「その他」欄に、社会保険の加入状況・雇用保険の適用の有無を書く欄があります。
  • 就業規則の備付けの場所:就業規則は、従業員に周知する義務があります。通知書に、就業規則を備え付けている場所などを書いておくと、必要なときに確認しやすくなります。
  • 退職・解雇の事由と手続き:具体的に書くことが、モデル様式の記載要領で求められています。就業規則の関係条項名を示す方法でも足ります。
  • 退職金の制度:中小企業退職金共済や企業年金で退職金の制度を設けている場合は、労働条件として明示する義務があります。
  • 安全・衛生、職業訓練、災害補償、表彰・制裁、休職など:制度として設けている場合は、記入することが望ましいとされています。
  • 通知書の保存:労使間の紛争の未然防止のため、通知書を保存しておくことをお勧めする、と厚生労働省のモデル様式に書かれています。
  • 令和6年4月より前から働いている従業員にも、「変更の範囲」を明示することを検討すること。更新上限は、従業員と一緒に、書面などで確認すること(厚生労働省のパンフレットの案内)。

試用期間、副業、秘密保持、服務規律などを、契約書に定めるかどうかは、会社の実情によります。厚生労働省のモデル様式には、これらの欄はありません。必要な場合は、ご相談ください。

明示の方法

明示は、書面の交付が原則です。従業員が希望した場合は、FAX、電子メール、LINEなどのメッセージで送ることもできます(従業員が、その記録を出力して、書面を作れるものに限ります)。出典:確かめよう労働条件、労働契約締結時の労働条件明示等。

ご自分で作る手順

STEP1モデル様式を入手する

厚生労働省の「労働基準法等関係主要様式」のページから、従業員の働き方に合う様式(一般労働者用、短時間労働者用など)の、Word版またはPDF版をダウンロードします。令和8年10月1日以降は、新様式を使います。

STEP2会社の実情に合わせて記入する

上の「絶対に書かなければならないこと」を、漏れなく記入します。就業規則がある場合は、就業規則の内容と食い違わないようにします。

STEP3従業員に交付する

雇い入れるときに、書面で渡します。従業員が希望すれば、メールなどでも送れます。受け取った記録(署名・押印、またはメールの履歴)を、会社でも保存します。

STEP4契約書の形でも残す

トラブルを予防するため、従業員にも署名・押印をもらう「雇用契約書」の形で、残すことをおすすめします。

モデル様式のダウンロード先:厚生労働省「労働基準法等関係主要様式」(労働条件通知書の様式が載っています)。

様式のダウンロード先

厚生労働省の様式のページです。労働条件通知書(一般労働者用・短時間労働者用など)の様式が載っています。令和8年10月1日以降は、新様式を使います。就業規則(変更)届は、定型の様式がなく、任意の用紙用の「様式例」が載っています(令和8年11月6日に、実際に開いて確認しました)。

  • 主要様式ダウンロードコーナー(労働基準法等関係主要様式):様式のページを開く(厚生労働省。労働条件通知書、36協定届、就業規則(変更)届の様式例、適用事業報告などを掲載)
  • 労働基準関係法令主要様式集:様式のページを開く(大阪労働局)

難しいときは、当事務所へ(社会保険労務士)

労働条件通知書・労働契約書の作成を、社会保険労務士として承ります。会社の実情(正社員・パート・有期契約・試用期間・固定残業代など)に合わせて、法律上必要な項目を漏らさず、トラブルを予防する書き方で作ります。就業規則がある会社は、就業規則との食い違いも確認します。就業規則がない会社は、就業規則の作成もご相談ください。従業員の入社の手続きは入社の手続きのページをご覧ください。

料金(税抜)

項目料金
労働条件通知書の作成(1名分)2万円
労働条件通知書兼雇用契約書の作成(1名分)3万円

同じ内容で、複数名分の通知書を作る場合は、お見積りします。手続きの内容・金額は、令和8年11月時点のものです。

よくある質問

労働条件通知書の絶対的記載事項は、何ですか。

契約の期間、更新の基準(有期契約の場合)、就業の場所と従事する業務(変更の範囲を含む)、労働時間・休日など、賃金、退職(解雇の事由を含む)の6つです。詳しくは、上の「絶対に書かなければならないこと」をご覧ください。

労働条件通知書と雇用契約書の、違いは何ですか。

労働条件通知書は、労働基準法で定められた項目を、会社が従業員に通知する書面です。雇用契約書(労働契約書)は、会社と従業員が合意した契約の内容を書いた書面です。詳しくは、上の「労働条件通知書と、労働契約書の違い」をご覧ください。

労働条件通知書は、必ず書面で渡さないといけませんか。

雇い入れのときの労働条件の明示は、書面の交付が原則です。従業員が希望した場合に限り、FAX、電子メール、LINEなどで送ることもできます(従業員が出力して書面にできるものに限ります)。

労働条件通知書と雇用契約書は、1通にまとめてもよいですか。

労働契約書に、労働基準法で定められた項目がすべて書かれていれば、労働条件通知書を兼ねていると考えることができる、とする労働局の案内があります。ただ、書き方によって扱いが変わりますので、迷うときは、ご相談ください。

パートタイマーにも、同じ通知書でよいですか。

パート・有期の従業員には、昇給・退職手当・賞与の有無、相談窓口に加えて、令和8年10月1日から、待遇の相違の説明を求めることができる旨の明示が必要です。厚生労働省の「短時間労働者用」のモデル様式を使うと、これらの欄があります。

令和8年10月1日より前から働いている従業員にも、新しい通知書を渡す必要がありますか。

令和8年10月1日時点で、すでに雇っている人に、直ちに通知書を再交付する義務はない、とする社労士の解説があります(二次情報。厚生労働省の資料では確認できていません)。更新のタイミングで、新しい様式に切り替えるとよいでしょう。ご不明な点は、ご相談ください。

試用期間は、通知書に書かないといけませんか。

厚生労働省のモデル様式には、試用期間の欄はありません。ただ、募集のときには、試用期間も明示すべき事項に入っています。試用期間を設ける場合は、契約書や就業規則に、期間と条件を定めておくと、あとのトラブルを防げます。

メールで相談 電話で相談 LINEで相談